〜番外編〜

 友人の娘さんの結婚式に出席するため、7月初旬のスウェーデンに旅立った。沈まない太陽の下、植物園が会場。結婚式は土曜の夜するものらしい。スピーチがあるのは日本と同じでも、議論好きのスウェーデン人の話し方は、堂々としていてまるで演説のようだ。理路整然とした話の内容は哲学的ですらある。
 翌日、スウェーデン人の新郎のご両親が持つ「夏の家」にフェリーで一時間かけて島に向かう。水路交通が発達している水の都には交通渋滞もなく、市内には下水汚泥からつくりだされたバイオガスで走るバスが走っていた。スウェーデンの夏休みは子供と同じ1ヶ月程あるのは普通で、ミカエルさんは3ヶ月だと言っていた。おじいさんの代からの質素なコテージを自分たちでペンキを塗り替えたりと手を入れ、リフォームを繰り返していた。日本の別荘はお金持ちしか持てないが、どうやらこの国では特別な人間だけが持っている訳ではないらしい。その島で2日間、私たちは散歩したり、ディベート(議論)したりして過ごした。
 日本人は皆、なんとかやりくりしてやっと5、6日間休みをとり13時間かけて北欧くんだりまでやってきたのだ。「どうしてもっと夏休みがないのだ!」と怒ったように質問されて、私たちには返す言葉が見つけられなかった。政治や民主主義についての話は特に盛り上がるらしいので、世界を揺るがしている経済危機について聞いてみた。するとこの国に経済危機はないとの事。EU加盟国ではあるが、2003年9月の国民投票で欧州統一通貨のユーロを導入しないと決めたのだという。そのため大きな金融ダメージを受けなかったそうだ。またしても「日本人はなぜ投票に行って、政治を変えないのだ」とつっこまれる。
「政治に裏切られ、もう政治家を信用できないし、政治活動や選挙運動はいやらしくつまらないものだと  感じてしまっている。」
 「情報公開制度を使って政治を変えればいいじゃないか。」と当たり前のように言った。
 スウェーデンには公のものは情報公開しなければならないという法律があるため、誰でも要求すれば見ることができる。メディアはこの法律を盾にして簡単に情報を入手できる。毎朝、市長宛に来た手紙やメールさえも見ることができるらしい。NGOの力も強いので両方が政治を見張っている。日本のようにさんざん待たされたあげくに、ほとんどが黒塗りだったというようなこともない。
 「スウェーデンにできて、なぜ日本ではできないのか。」と逆に質問してみた。
 「我々には労働組合があり、労働運動をしてきた連帯と民主主義の歴史がある。」と迷わずきっぱりと答えが返ってきた。日本の政治に誇れるものがないのは心底悲しかったけれど、この旅でサスティナブル社会を築くにはどうすればいいのか、その解決策がみえてきた。
 日本から行った花嫁は、*母親になるのにベストな国で、たとえ文化や言語、生活習慣が違っていても、未来の子どもたちと幸せになることが保障されていたのだ。


*国連公認NGOセーブ・ザ・チルドレンが、このランキングを含む「母親  指標」を毎年発表している。ランキングトップの常連はスウェーデン。 2009年日本は158カ国中34位という結果になっている。

   島と海の風景写真        バイオガスで走るバス 足跡